• 返信先: @自分 ずると出てきた白いそれは、どうみてもタイツではなかった。それどころかビニール製のそれは、市の指定のゴミ袋である事を示す印字がされている。
    「はは……は」
    先の茶色い割り箸を投げ捨て、皮がすりむけて血の滲んた黒い手のひらを見つめる。
    「ばかだよな。いつもこうだ」
    いつも下らない事をやってばかり。田舎から出てきて大学生になったのに、都会にも大学にもうまく馴染めなくて、気づけば逃避のための麻雀漬けだった。
    借金を返せばなんとかやり直せる、そんな甘い考え の世界一惨めな男の顔が、目の前の自販機のプラスチックのふたに映っている。

    その時後ろで、じゃりと地面を踏む音がした。
    「おい、お前もタイツ探してんのか」
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  • スレ主(6Adv2F)2023年7月12日
    返信先: @自分 「……っ!?」
    突然の声にギョッとして、俺は文字通り跳び上がった。俺の背後に立っていたのは、見目のいい若い男だった。
    染めた髪を片側だけ刈り込んだガラの悪そうな髪型だが、ただの黒いTシャツすらファッションのようにサマになっている。
    ただ顔かたちはいいが、どこか異様だった。
    やたらと大きい瞳は商店街の薄暗い光を吸収して、真っ黒の穴のようだ。

    「なぁおい、タイツ探してんだろ?」
    ピアスの穴だらけの顔がぐいと近づけられ、恐怖に思わずのけぞる。
    「……!!」
    一瞬であがった息を、俺は手のひらで無理に抑えつけた。
    「たっ、ぁっ、タイツぅっ?なんのことでしょう」
    他人の喉のように声が上ずる。
    恥ずかしくて情けないが、仕方がない。こちとらコミュ障の陰キャなのだ。
    「小銭おとっ、おとしたんですけど、無いみたいなんで…」

    腰を上げて立ち去ろうとするが、床から動けない。
    よく見ると、ピアス男のスニーカーが俺の服の裾を踏んでいる。
    俺は自分の顔から、さぁと血の気が引くのを感じた。