• 返信先: @自分 「……っ!?」
    突然の声にギョッとして、俺は文字通り跳び上がった。俺の背後に立っていたのは、見目のいい若い男だった。
    染めた髪を片側だけ刈り込んだガラの悪そうな髪型だが、ただの黒いTシャツすらファッションのようにサマになっている。
    ただ顔かたちはいいが、どこか異様だった。
    やたらと大きい瞳は商店街の薄暗い光を吸収して、真っ黒の穴のようだ。

    「なぁおい、タイツ探してんだろ?」
    ピアスの穴だらけの顔がぐいと近づけられ、恐怖に思わずのけぞる。
    「……!!」
    一瞬であがった息を、俺は手のひらで無理に抑えつけた。
    「たっ、ぁっ、タイツぅっ?なんのことでしょう」
    他人の喉のように声が上ずる。
    恥ずかしくて情けないが、仕方がない。こちとらコミュ障の陰キャなのだ。
    「小銭おとっ、おとしたんですけど、無いみたいなんで…」

    腰を上げて立ち去ろうとするが、床から動けない。
    よく見ると、ピアス男のスニーカーが俺の服の裾を踏んでいる。
    俺は自分の顔から、さぁと血の気が引くのを感じた。
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