• 返信先: @自分 「い、い、今……」
    「追うぞ!!」
    俺と男は、弾かれたように席から飛び出した。
    「あっ、伝票……おい?!」
    男は支払いの事なんて気にもとめず、外へと走り出してゆく。俺は仕方なくテーブルの上の丸まった紙を拾い、レジに向かった。
    「まじかよ、見失ったら……。後で払ってくれるんだろうな?!」
    なけなしの現金で支払いを済ませ、釣り銭をひっつかんだ俺は少し遅れて店から飛び出す。

    自転車の向かった方角は、駅の方だった。
    ファミレスから駅前までの距離を何も考えずただ走ってきた俺は、立ち止まって膝に手をつき、思い切り肩で息をした。
    「はっ、はっ、────ッ」
    久々にした全力疾走のせいで、ゼエゼエとおかしな呼吸音がする。
    額から流れる汗を拭い、ギャンブルの時の冷や汗以外では久々にかいた汗だと気づく。

    「……くそ、ピアス男、どこだよ……。」
    痛む気管を落ち着けながら周りを見渡すと、少し離れた所から絹を割くような悲鳴が聞こえた。
返信の受付は終了いたしました。
  • スレ主(6Adv2F)2023年7月13日
    返信先: @自分 「悲鳴……!自転車の女か?!」
    それにしては太い声だった気もするが、状況からしてそれしか無いだろう。
    あんなチンピラみたいな髪型の男が深夜に追いかけてきたら、誰だって怖くて叫ぶ。そこまで考えて、俺はぞっとした。
    「しまった、これじゃピアス男は捕まるぞ。下手したら俺も」
    深夜に女を追いかけ回すなんて、それだけで殆ど犯罪者だ。そして俺も共犯扱いになるだろう。
    俺はクズだが、まだ前科だけはないというのに。

    パフェの代金は忘れて今すぐ逃げろ、と頭の中でアラートが響く。
    麻雀狂いで休学、親に隠れて借金苦、ここに更に犯罪歴が加わるなんて絶対に避けたい。

    「だけど、俺が止めなかったら……」