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もし自転車女がただの派手なファッションの普通の子だったら、と不安と罪悪感が頭をよぎる。
金に狂ったピアス男に追い詰められて、乱暴にタイツをひっぺがされたら、きっと一生トラウマになる。
だがあの明らかにヤバそうな男が、数千万円相当の獲物に優しく気を使って事情を説明するとも全く思えない。
「うぁぁぁ……くそーーっ!!行きたくねぇよ!!」
俺は一度だけ八つ当たりに、電柱を拳で叩いた。
そして覚悟を決めると、悲鳴の聞こえた駅前の寂れた飲み屋街の奥へと足を進めた。 -
それにしては太い声だった気もするが、状況からしてそれしか無いだろう。
あんなチンピラみたいな髪型の男が深夜に追いかけてきたら、誰だって怖くて叫ぶ。そこまで考えて、俺はぞっとした。
「しまった、これじゃピアス男は捕まるぞ。下手したら俺も」
深夜に女を追いかけ回すなんて、それだけで殆ど犯罪者だ。そして俺も共犯扱いになるだろう。
俺はクズだが、まだ前科だけはないというのに。
パフェの代金は忘れて今すぐ逃げろ、と頭の中でアラートが響く。
麻雀狂いで休学、親に隠れて借金苦、ここに更に犯罪歴が加わるなんて絶対に避けたい。
「だけど、俺が止めなかったら……」