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ピアス男が手をぱっと離して中年の脚に向かってスマホを構えると、中年男は地面に座ったままさっと脚を組んでポーズを取った。
中年男のきりりとした美麗な表情に、なぜだかイラッとしてつい語気がトゲトゲしくなってしまう。
「何でアンタちょっと撮られ慣れてんすか」
「……撮ったら妙にキレイな脚に写ったのもなんか腹立つな」
ピアス男はしゃがんだまま、中年のワンピースの裾を踏んづけている。スマホをいじっているのは、おそらく画像をアプリにアップロードしているのだろう。
(これが本当に幻のだったら……。俺の手の中にあるわけじゃないし、分け前なんて貰えないか?)
期待と緊張にざわつく気持ちにそわそわしながら待っていると、急にぱっと辺りがまぶしくなって後ろから声がかけられた。
「君たち、こんな所で何やってるの?」
がばと振り向くと、そこにいたのは懐中電灯を持った警官がいた。 -
地面に膝をついたピアス男がぐいとワンピースの胸ぐらを掴み、おっさんの胸元がはだける。以外にもつるりとして色白な肌に、俺はかえってゲンナリとした。
ピアス男のやってることは野蛮だが、俺にはもうこのおかしな中年までかばってやるほどの体力も気力も残っていなかった。
「失礼な!あなたはおっさんが派手なタイツを履いたらいけないとでも言うんですか?!誰にでも好きな服を着る自由はあるはずでしょう!」
「……そうなのか?」
プリプリと怒る中年男に、ピアス男が珍しく戸惑ったような顔を浮かべてこちらに確認をしてくる。
「まぁ、そうっちゃそうですね。今は性別で服装制限するの、良くないって感じが社会的な常識になりつつありますし」
「へぇ〜。お前学あんのな。ま、とりあえずは確認のために写真撮らせろよ」