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あのミニワンピのタイツ中年かと思ったが、通ったのはあの男のママチャリではなかった。
白っぽい自転車で、乗っているのは……どうやらさっきの警察官だ。
ハイになったような笑顔でハンドルを握るその片手には、ひらひらと虹色のタイツがたなびいている。
「はッ、はぁッ!やったぞ!レアタイツ1割、レアタイツ1割だァ!」
「なっ……!」
「あぁ〜、やられたなぁー」
闇夜にあっという間に消えていった警官と虹色のタイツに、俺は呆れた。
「嘘だろ、警官までこんなゲームに参加してんのかよ……。どうなってんだよこの田井津町の治安は」
がっくりと肩を落とす横で、さすがのピアス男もため息をついた。
「レアの方は諦めるしかないなぁ。あのお巡りも押収物だか拾得物だかでおっさんから奪ったんだろうし、それを更に奪えば公務執行妨害だ」
「取り返せばその場で逮捕かよ……くそ、時間がないってのに!」
空はだんだんと明るくなってきて、リミットが近いことを俺たちに知らせていた。 -
「うっわーー油断した。完全にただの趣味だと思った……」
「えっ?!俺にも見せろって!」
ピアス男の手首を掴んでがばとその画面を覗き込むと、さっき撮った虹色タイツの写真が銀の枠で縁取られている。
ポップな書体で書き添えてある文字を見て、あっと声が出そうになる。
「レアタイツ、発見おめでとう?ゲットしたら賞金1割!?あれっておっさんの趣味だって……どういうことだよ!!」
「多分あいつ、運営側だ。それか運営に雇われた、元々ああいう趣味のやつかもしれないけど。おかしいと思ったんだ、どこで売ってるんだって感じのタイツだったし」
「幻みつけたやつが総取りじゃなかったのかよ!」
1割と言ったら、最低でも三百万以上は入るのだ。ワリカンしても、借金は返せるかもしれない値段だ。
「……っ、今からでも戻れば!」
がばと振り返ると、自転車が横をビュンと通り過ぎた。