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「お前が入れた?」
「俺、タトゥースタジオで働いてるから。若者向けの店なんだけど、結構なおっさんが来て担当したから覚えてんだよね」
「そうだったのか?!で、何て書いてた?!」
「あれってタイツじゃなかった。タイツチョウ、だ。4文字どころか6文字になっちったなぁ」
やっぱだめか、とつぶやくピアス男の横で、俺はひとり興奮して手を震わせていた。
「バカ、タイツじゃなくて田井津町だろ?!井戸の井が4なら、絶対画数だろ!」
「カクスウ?」
「見てろ!まず田んぼの田が、5!んで、井が4!」
宙に指先で文字を書くようにして画数を数え、ダイヤルをその数字に合わせる。
興奮する俺の隣で、ピアス男がようやく合点がいったかというようにあぁ、とつぶやく。
「津は9だな」
「9……と。で、最後が町の……7か!」
その数字を入れた途端、金庫の蓋からカチリと小気味のいい音が響いた。 -
「タイツ……って、書いてあったの見たな……。今思えば、めちゃくちゃ関係ある場所に」
「タイツ?」
「もしかして、木札も意味があんのかな?イの4番」
「タイツのイが4ってことか?それだとまだ3桁だな」
「待ってくれ、確かまだ続きがあったような……」
ワンピースの裾からちらっと見えたあのタイツの文字の右側に、まだ他にも何か書いてあった気がする。
だが、思い出せない。
「おい、思い出せよ!」
「やってるよ。でもそもそも人の太ももなんかそんなに凝視しないだろ。ましてや相手はおっさんだし……」
「太もも?」
「多分だけど、タトゥーってやつじゃないの?関係あるかまでは分かんねえけど」
そこまで言うと、今度はピアス男がはっとする番だった。
「……それ、俺が入れた墨だ」