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「おめでとうございます。それは正真正銘、幻のタイツですよ。参加者も増えて、今金額は3840万円です。」
「さ、さんぜん……うそだろ!!」
俺とピアス男は、無言のままぶつかるように強く肩を抱き合った。
腹が震えて、おかしくもないのに笑いが止まらない。泣きたいのか、なんなのか、全部がごちゃまぜで何も分らない。
ただなぜか、目の前のいつもひょうひょうとしたピアス男は顔を手で強くこすっていて見せようとしなかった。
真っ赤な耳をして、小声でありがとな、ありがとなと繰り返していた。
「バカ、まだ何も貰ってねーんだよ……その見た目でメソメソ泣いてんなよ」
「おぅ。バッチリ泣いてるぜ」
「ここは泣いてねえって言うとこだろ……」
肩を思い切り叩いてやると、タイツ男が小さく笑った。
「このタイツが選んだのが、君たちで良かった。いや、君たちだから選ばれたのか」
ドラマの最終回のような雰囲気を出す男に、俺たちはそちらへ向き直った。 -
当然と言うべきか、そこにいたのはあの虹色タイツの中年男だった。だが今は、まるでごく普通のおっさんのような格好をしている。
「……おっさんは、運営に雇われてたんすか?虹色タイツ履いて町中を走り回ったり、ゲームのためにタトゥーまで入れて」
純粋なる趣味人だと思っていたのに、この人が金で買われるだなんて上手く想像ができなかった。
だが男は、ふっと寂しげな笑顔を浮かべた。
「いえ、全くの見当違いです。私がこのゲームを考案して、実行しました」
「なっ……あんたが?」
スマホを見ていたピアス男も、この言葉に顔を上げる。
「ええ。今証拠を見せましょう」
中年男がポケットから出したスマホを操作すると、すぐにピアス男のスマホから通知音が鳴った。
二人で画面に飛びつくと、今撮ってアップロードしたばかりの画像に金色の枠と、【幻だよ!おめでとう、大当たり!】の文字が表示されていた。