• 返信先: @自分 「へぇぁ……うわぁ……スゴーーイ……はは」
    俺が頷き続けた結果、外は既に暗くなっていた。
    おっさんの話はとどまるところを知らず、俺は会ったこともない人の人生を追体験することとなった。
    「だから言ったんだって〜。タトゥー入れるときも離してもらえなかったんだからさぁ」
    「ごめんね次から先に教えて……」

    この数時間の話を要約すると、その奥さんはすでに亡くなっていて、すすけた白タイツはおっさんが初めてプレゼントした思い出の品らしかった。
    子供がいない夫婦には遺品を譲る相手もおらず、自分が死んだらタイツも捨てられてしまう。
    悲しみにくれたおっさんは、悩んだ挙げ句こんなアホなことを思いついたらしい。

    「恋って、人をアホにするんだなぁ……」
    「お前はいなくてもアホにみえる」
    「いないって決めつけやがって……」
    これだから顔のいいやつは。俺たちは延々と降りかかる夫婦の愛のメモリーに、いつまでも白目をむいていた。
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