• 返信先: @自分 「どうも、おつかれさんです」
    その声と眼鏡には、しっかりと覚えがあった。
    「あれ、確かタクシーの?」
    「へへ、俺が呼んだんだ。関係者だったみたいだから」
    タトゥー男がにやりと笑って、メニューのタッチパネルを渡す。運転手の頼んだ山盛りのパスタがやってきたときには、俺たち3人はすっかり話し込んでいた。

    「じゃあ、アプリやなんかを作ったのは運転手さんだったんすか?」
    「ええまあ、私もあの人も、ここらで育った昔馴染でね。小さな子供のころからあの銭湯には連れてかれてましたから、そのよしみで。幸い私はその方面では小器用でしたし」
    「じゃあ、タクシーで客に話を広めてたのは……」
    「亡くなった奥さんはそりゃあ素敵な人でしたからね〜。あの人の大事にしてたものをこの町の皆の宝にしたいなんて、ロマンがあって手伝いたくなるじゃないですか」
    パスタを口いっぱいに頬張ってうっとりとする運転手に、そんなもんかなと不思議に思う。

    「結局、人間は愛ですよ、愛。例え相手が何でもね」
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  • スレ主(6Adv2F)2023年7月13日
    返信先: @自分 「愛ねぇ……。全然ピンとこねぇな」

    一人の帰り道、俺は空を見上げてひとりぼやいていた。
    妻でも、友人でも、他人でもと運転手は言った。更に犬でも、ハムスターでも、クロッカスでも、とも言っていた。
    「クロッカスでもって何だよ。小学校でしかみたことねーよ」
    つまりは、何でもいいという事だろうか。
    この騒動で知り合ったあいつが、タトゥーに持つのも愛なのだろうか。

    「俺の愛って、なんなんだろな」
    人に怯えて閉じこもっていた俺には、世界のことも、自分のことも、まだ何もわかっていないのかもしれない。

    「大学、戻ってみるか」

    そこで何かが見つかるかは分からない。
    だけど今の俺なら、なぜだかそれほど怖いことは無いような気がしていた。

    ー終わりー