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自然と人との触れ合いがとても情緒的でこのお話大好きです。特に違う音が立つのが楽しくて落ち葉がたまっているところを自転車を押して通るところ、自分ではやったこと無いのになんだか共感できる気がして印象的でした。 -
動きはじめた雲の底が、沈む頃になって顔を出した夕日でほんのりとオレンジ色に染まっていた。ところどころにできた水たまりが光を反射して、帰り道の街はいつもより綺麗に見えた。まるで雨に洗い上げられたようだった。
雨はそんなに好きじゃないけれど、雨上がりは好きだ。晴れた日とは少し違う明るさとか、しっとりと濡れた空気とか、しんと冷える鼻の中とか、そんなものの全部が愛おしくて、雨のわずらわしささえ忘れる。
ちかちか光る窓ガラスの群れを眺めながら、僕は自転車を押して歩いた。濡れた落ち葉が自転車のタイヤの下でいつもと違う音を立てているのがなんとなく楽しくて、わざと道のはしっこの落ち葉がたまっているところばかり進む。母親に手を引かれた小さな子供が反対から落ち葉を蹴散らしながらやってきて、すれ違うときに僕を見上げ、数秒固まってから笑った。たぶん、これは、仲間として認められたのだ。