• 「本当に信じてくれるの?」「ああ、勿論さ」
    怯えるような少年を安心させる様に柔らかい声でそう伝える。
    『見えないものが見える』なんて誰にも信じてもらえないと、彼は悲しそうに悩みを僕に打ち明けてくれた。自分は嘘つきだと、周りから馬鹿にされて落ち込んでいたのだ。
    「他の人には見えなくても、君には見えているなら…それは君の中ではちゃんとした事実なんだよ」
    「…ありがとう、おじさん」
    そう言った少年の顔は少し柔らかくなり、自分のもそれに釣られて笑みを浮かべながら、彼の頭を優しく撫でた。


    ─────


    別室、モニターを見ている女性と白衣を着た男性。
    「…主人の様子はどうですか?」
    「完全に見えないナニカと会話をしている状態ですね…」
    「やっぱり…」
    悲しげな表情をした女性は、モニターに1人で壁に向かって語り続けている男の姿をただ見つめるだけだった。
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