• 「騒音騒ぎしか起こせないくせに、何が夏の風物詩だ」
    人間に飼い慣らされ、言われるがまま相撲をとるあいつらが、俺達に向けて放った言葉。
    ゲージの中で甘い汁を啜り、ふかふかの土に埋もれ、偽りの野生に騙され、本能と勘違いして目の前の敵と戦う。
    愚かなのはお前らだ、情けないのはお前らだ。
    そう罵りたい気持ちは、いつだって人間を沸き立たせ、人間の誇りとなるあいつらを前にして消えていった。
    俺達には何がある?
    俺たちに何が出来る?
    1週間しかない短い命の中で、俺たちにできること。
    あいつらを見返せる何か。
    必死に考え、悩み抜いて、そして見つけた"答え"。
    ──男子シングル、セミファイナル
    アナウンスとともに空を駆ける。
    人間に放つ決死の一撃。
    カブトなどにはなし得ない、俺たちの"騒音"と、1週間の全てを込めた急上昇。
    飼われるがままのお前らとは違う。
    これが、短い命を生きる俺たちの、"誇り"だ。
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