• 「神と黒蟹県」絲山秋子

    地方の土地についての描写が抜群に上手な絲山さんですが、その筆力が今回も爆発しまくっている。ああ、あそこね、隣のそのまた隣の県で、うちからだと四時間ほど車で走ったら着くよ、と言いたくなるような絶妙な距離感とリアリティで描かれる「黒蟹県」。
    土地の描写だけでなく、黒蟹県に住まう人たちの人となりや生活の描写も最高。私もひつじくんお手製の草木染めマフラーがほしい。湯波温泉の足湯にひたりたい。十和島さんと当たり障りのない会話をしながら草抜きをしたい。
    同作者の「忘れられたワルツ」収録の「NR」を読んでいたので、さらにニヤッとできた。かゆ、ぬ………

    帰省時のお供本が早くも決まった。田舎の実家でこの本を読むのは格別の読書体験になるだろうと確信しています。
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