保守
加湿器の噴き出す霧があしもとを漂う夜にあきらめること(加藤治郎)

寂しさを募らせるなら招こうよ一緒に冬を越すぬいぐるみ

生きるのが　しんどい貴様に　これをやる
酒だ！飲め飲め　全部忘れろ！

ぬらぬらと　夜の底を這っていき　風呂場で流した　汚れと涙を

なんとなく　眠れないので　夜ふかしを
マグカップ片手に　毛布にくるまる

この世にもエデンはあった　信号は一斉に青一斉に青

正解が　欲しいほしいと　願うこと
間違いだって　分かっているのに

冬になる　朝の空気も「11」を「12」に直す手の冷たさも

静寂、響くブレーキ音信号待ち
鼻先赤く灰色の早朝

二年牡蛎 2年も生きた 生き物を さんきゅっぱーで しかも8つも

見切られた柿の甘みと柔らかさ
木を吸い込んだような味わい

焼肉と　炊き立てごはん　おみそしる
お新香つけて　いただきまーす！

忘れるの　着いた途端に　目的を
100円均一　買い漏らす日々

金がない　金が欲しいな　大金が
空から来るか　5000兆円！

片付けど片付けどなほわが家は
きれいと無縁　2歳児いるし

表には出せぬ怒りを抑え込み静かに虎を撫でる面持ち

君はもういないケーキを独り占めするのがこうも寂しいなんて

空腹に堪えきれずに手を伸ばす
許しておくれ未来の自分

肩が痛い　背中も腹もと　焦る朝
昨夜なにした？　腹筋ローラー

寂しさと　心許なさと　切なさを
待ちきれぬほど　持たされた夜