熱々の道路に落ちるセミさんやかまさないでねセミ爆弾を

青空を溶かしたように透き通るクリームソーダは夏めいている

夏はもうお前がいなきゃ乗り切れない　除湿モードと結婚したい

酒を飲む一口ごとに遠ざかるあの日の若さ若さ若さ

帰りたいああ帰りたい帰りたい やりたいことが山積みにある

保守上げがてら
爪だけの指輪のような七月をねむる天使は挽き肉になれ　/穂村弘

目標はいつも高くて上ばかり見ている首が痛くなるほど

夢ならば覚めないでくれと願うほど素敵な夢を見たことがない

展開の向かぬ六回先頭の打者いでてビールあき

キラキラと輝くようにしてまぼろしの幻影振りまく球児の子ら

君にならきっとできると責任を持たずに吐いた綺麗な言葉

もう一枚　ポテチを取る手　止まらない

摘み取りが誘拐のように思えた 花の名前も知らないのに

僕たちが思っているより簡単に奇跡というのは起こり得るのだ

なんとなく言い出せなかった食パンは耳の方が好きだってこと

絵日記を毎日つけたあの夏を思い出させる蝉の鳴き声

遠雷が遠く聞こえる空の下 傘を忘れた心許なさ

梅雨明けの宣言聞きしこの耳に入る轟音夏はいずこ？

コンビニで求めし安酒飲みながらふけゆく夜は連休前

段々と「私らしさ」が変わってくミニスカはもう履けない(らしい)