しりとりで小説作ったー

2022年7月9日に作成 #ネタ
しりとりで小説を作りましょう!
多少話に整合性が取れなくても大丈夫!気軽にどうぞ!

NGは中傷など倫理に悖るもの
その他しりとりのルールに則っていないものや、単語のみもNGです
このTterはアーカイブのみ閲覧できます
  • 「楽しそうな顔ね。最初会った時は、ほぼ無表情だったのに」とエリザもつられて嬉しそうにする。
    シオンは色々と興味があるようで、キョロキョロしながら歩く。
    「あ…シオンちゃん、その行動は怪しまれるわ」
    彼女は耳打ちをした。
  • 「さらに言えば、昨日のあの爺さんのデカい飛行艇を見た連中も多いはずだ。おれはとりあえず上の連中に説明しなきゃいかん。街へはエリザと行ってくれないか?」とベリタル。偽物の翼を背負ったシオンは頷いた。未知の世界が見られることに夢中になっていた。
  • 意図が分からず首を傾げるシオンとは裏腹に、エリザは納得したように頷いた。
    「なるほどね。確かに、このままだと過激派に目をつけられる可能性が高いわ」
    シオンが「過激派……?」と尋ねると、ベリタルは腕を組みながら言う。
    「昨日、人間と翼人の歴史について話しただろう?翼人の中には、今でも人間のことを良く思っていない連中がいる。……そいつらが過激派さ」
  • 「旅……」と嬉しそうに復唱するシオン。ベリタルは「そう、旅だ」と笑う。ベリタルと一緒に家の外に出ると「ひゃっ!?」と小さな悲鳴が聞こえた。
    「うおっ!誰かと思えば、エリザか。……何やってるんだ?」
    「ノックしようと思ったら、急に扉が開いたのよ!」
  • 「旅……、そうだなシオンは旅をしている。これから、さらに上の世界を目指すのも、故郷に帰るのも自由だ。すぐにあいつらが追ってくることもないだろう。とりあえず、今日は、俺たちの街でも見学しないか? 旅に必要な道具もいるだろう」と、ベリタル。たしかに屋敷から持ち出した荷物では心もとない。それよりシオンは、旅をしていると言われた自分に、少しどきどきした。
  • スッと扉が少し開く。その隙間から顔を覗かせるベリタル。
    「シオン、おはよう」と言ってから、シオンのいる部屋に入る。
    「おはよう、ベリタル」
    お互いに少し微笑む。
    あの屋敷にいた時は、朝が嫌いだった。縛られたような1日の始まりだったから。だから、この清々しい気分で朝を迎えれる事が嬉しいとシオンは思った。
  • 色々なことがあったせいか、ベリタルが言っていたように頭も身体も疲れ切っていたようだ。エリザの料理を食べ終えると、シオンの瞼は自然と重たくなっていき──気が付くと、朝を迎えていた。扉をノックする音が聞こえ、シオンは「……どうぞ」と言いながら上半身を起こす。
  • 「眠れそうになかったら、声かけてちょうだいね。ここの部屋を出た目の前の部屋にいるから」
    エリザは部屋を出ていく。ベリタルも軽く手を振ってから部屋から去る。
    シオンは彼女が作った料理を食べ始めた。
    「エリザの料理、すごく美味しい」
  • 目の奥をじっと見つめる。世間知らずなシオンでも、相手の瞳を見れば嘘をついているかどうかくらいは分かる。ベリタルの話が真実であることは間違いない。シオンは小さく頷いた。
    「うん……分かった。今日は、もう休むね」
  • 「今は……とりあえずここまでにしようじゃないか。今日は疲れた。飯を食って寝よう」とベリタル。その表情に裏はないように見えた。「この先のことは、嬢ちゃん、いや、シオンがゆっくり考えて決めればいい。とりあえず、今日は休め」。
  • 「うーん…。本当にそれだけの理由で、わざわざ怪我までするかしら?」
    エリザはそう言うと、疑いの眼差しをベリタルに送る。が、ベリタルは何も答えない。
  • 「単純な話さ」とベリタルは微笑み、優しい瞳でシオンを見た。
    「シオン、一度でいいから君に会ってみたかった。だから、あの時……林の中から君を呼んだんだ」
    そう言うと、複雑そうな顔をしながら「まさか他にも人間が居るとは思わなかったがな」と呟く。恐らくゼノのことを言っているのだろう。
  • 「簡単な理由さ。人間の住む世界に行く為に口実が欲しかったから。怪我をしてバランスを崩して落ちたなら、誰も怪しまないだろう?」とベリタルは言った。
    「じゃあ、怪我は…わざとだったの?なんで、そこまでして落ちてきたの?丈夫でも怪我したら…痛いし、辛いよ」
    シオンは悲しそうな顔をした。
  • 「いいえ、ハーフの存在は知っているわよ。でも、シオンちゃんのお祖母さんだった事は…知らなかったわ」
    彼女はシオンのグラスに、新しく水を注ぎながら言った。
    「…それで?何故そんなに詳しいのよ?ベリタル」
    ベリタルの事を警戒しているのだろうか。目付きと口調が鋭くなるエリザ。
  • 「え、それってどういう事よ…?」
    エリザだ。どうやら完成した料理を持ってきているようだ。
    彼女は、トマトスパゲティが乗っているトレーをサイドテーブルに置く。
    「ますますシオンちゃんを守っていかなきゃ駄目ね、あの人間らは悪用しそうだわ」とエリザは眉間にシワを寄せた。
  • 「どんなことを、か……。想像はつく。恐らく君の中に眠っている力についてだ」とベリタル。戸惑うシオンの目を真っ直ぐに見据え、続ける。
    「いいかい、シオン。落ち着いて聞いてくれ。君のお婆さんはな……俺達と同じ、翼人だったんだ」
    「え……?」
  • 「まさか、感情が読み取りにくいシオンがそんな驚くとはな…。やはり、あの屋敷で何かされていたんだろう。それが嫌で感情に蓋をしたんだろう。…何をされていたんだ?」とベリタルの圧に負けるシオン。
    ”怪我していたのは何故?”と言う問いの答えの催促をせず、彼女はこう言った。
    「わたしについての研究…。どんな事を書かれているのかは、わからないけれど…。」