しりとりで小説作ったー

2022年7月9日に作成 #ネタ
しりとりで小説を作りましょう!
多少話に整合性が取れなくても大丈夫!気軽にどうぞ!

NGは中傷など倫理に悖るもの
その他しりとりのルールに則っていないものや、単語のみもNGです
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  • 「大した洞察力だ、嬢ちゃ──いや、シオン。これ以上は誤魔化せそうにない」とベリタル。
    「まず、一つ目の質問だ。確かに俺はシオンのことを知っていた。正確には、君の母親のことを……だがな」
    「お母様を……!?」
    ベリタルの口から母親の話が出たことに、シオンは驚きを隠せない。
  • ルビーの指輪をギュッと握りしめて答えを待つ。今になってわかったけれど、丈夫な翼人のベリタルが血を流して空から落ちるなんてよほどのことだ。
    ベリタルはいつもの表情とは打って変わり、真面目に、真っ直ぐシオンの目を見た。
  • 確かに、思い返せばまず近くに負傷してベリタルが居たのが偶然にしては出来すぎている。
    「……あの時、怪我していたのはなんで?」
    核心をつく質問を投げ掛ける。
  • 「たらふく食いな、嬢ちゃん。エリザのメシは美味いんだ」とベリタル。シオンは「……そうじゃなくて」と首を振る。
    「ベリタル……。もしかして、わたしに会う前から、何か……わたしについて知って、いたの?」
    ベリタルの目が気まずそうに泳いだ瞬間を、シオンは見逃さなかった。
  • 「っ〜〜」
    シオンは頬を赤くし、声にならない叫びを出す。
    「ご飯、作ってくるわね」とエリザは部屋を出ていく。
    (そういえば…どうしてベリタルは、ゼノたちがわたしの事を、さっきのお伽噺のあの子の血縁だと疑ってるって言えたのかな。)
    彼女は不思議そうにベリタルを見た。
  • 「いえ……わたしはもっとこの世界のことを知らなければならないわ」
    ルビーの指輪を握り、決意を固めるように言葉を紡ぐ。
    籠の中の鳥の生活と言えども、在りし日のゼノや爺やが向けてくれた愛情は本物だった。わたし自身にも、彼らが疑うだけの何らかのルーツがあるに違いない。
    「図々しいお願いだと思うんだけど、ふたりとも――」
  • 「顔色が悪いわ」とエリザ。シオンを安心させるように、ベリタルがポンポンと頭を撫でる。
    「ここまで色々あったからな。俺とこっちの世界に来て、兄ちゃん達と対峙して、こんな重たい話を聞いて……きっと頭も身体も疲れているのさ。今日はもう休んだ方がいい」
  • さっと表情を変えるシオン。先ほどとは違い、不安そうな顔になり、俯く。
    (わたしを研究しているのって、もしかしてこの事なのかな)
    それを見たベリタルは顔をのぞき込む。
    「お嬢ちゃん、大丈夫か?」
  • 「今、話してくれた事があったから…お互いに関わったらいけないってなったの?」と彼女の呟きにエリザは頷いた。シオンは続けて話す。
    「だからゼノと爺やは必死になって、わたしを屋敷に戻そうとしてたんだね。でも、ふたりして怖かったのは…どうして…?」
  • 「絶ってしまったの。……自らの命を」
    絶句するシオン。躊躇うエリザに代わり、ベリタルが重々しく口を開く。
    「……自分のせいで醜い戦争が起こってしまった、そう思ったんだろうな。そして……その子の死が影響して、凄まじい災害が発生した。言い伝えによると、半数以上の生き物が死滅したらしい」
  • たぶん、わたしの想像を絶するくらい惨い戦争だったはず──。そうシオンは想像するだけで、血の気が引いていく。
    「そ、その子はどうなっちゃったの?どちらかの種族に捕われたの?」
    シオンの質問に「違うわよ」とエリザは静かに言った。
  • 「……喉から手が出るほど欲しかったのさ、その子が」とベリタル。
    「表向きは共存していたとはいえ、お互いの種族を快く思っていない連中は多かった。その子の力を使えば、一つの種族を根絶やしにするなんて容易い。そう考えた連中が、その子の奪い合いを始めて……やがて、大規模な戦争に発展した」
  • 「今から話すことは、すごく痛々しい話になるわ。シオンちゃん平気?」
    エリザの問いに、シオンは「問題ない」と言うように強く頷く。
  • 「大地が割れただの、人間達を操っただの……」と肩をすくめるベリタルに、エリザが「どこまで本当かは分からないけどね」と付け加えた。
    「でも、これはただのきっかけに過ぎないの。問題はその後に起こった種族間の争い」
  • 「全て…、この世の全てを凌駕していたとも言われているの。その気になれば、天変地異を起こすのも容易いとも書かれているわね」とエリザ。
    「具体的に、どんな事があったの?」
    シオンの問いに、ふたりは顔を見合わせる。答えるのを渋っているようだ。
  • 「……遠い昔の話さ」とベリタルは語り始める。その昔、二つの種族は共存していた。ある時、人間と翼人との間に子供が産まれたが、その子供は世界を根底から揺るがすほどの強大な力を有していた。
    「強大な、力……?」とシオンは聞き返す。