しりとりで小説作ったー

2022年7月9日に作成 #ネタ
しりとりで小説を作りましょう!
多少話に整合性が取れなくても大丈夫!気軽にどうぞ!

NGは中傷など倫理に悖るもの
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  • 悔いはない、そうシオンは思った。たとえ爺ややゼノと敵対することになったとしても、いずれ分かり合える。そんな確信もあった。そんな、今にでも塔に登り出しそうなシオンを見て、「何日か、ちょっと我慢してくれ。冒険には計画も必要だぞ」とベリタルは言った。
  • 「多分…いや、絶対にシオンなら行けるさ。俺達も協力する」とベリタルはシオンの頭を撫でる。
    エリザも彼の発言に同意するように頷く。
  • 「ねえ、わたしでも登れるかな」とシオン。ベリタルは、シオンの性格が様変わりしたことに少し驚きつつも、そういう血筋だということに思いを馳せた。自分が行けるところまでは、力になってやりたい。てっぺんの見えない、高い塔を見上げた。
  • 半開きの口から「わぁ……」と声が漏れる。エリザ達に連れて来てもらった"百階の塔"は、シオンの想像を遥かに上回る高さだった。
    「どう?驚いたでしょう、シオンちゃん」
    「うん……。すごいね」
  • 「がんばるシオンには、いいところを案内しよう!」と、エリザ。この街から少し離れたところには、「百階の塔」と呼ばれる建造物がある。天に高く伸びた塔は、上の世界に繋がっているという。しかし、翼人たちは塔の半ばまでしか登れない。シオンならば、あるいは……。
  • 「旅から冒険になったのか?ははっ、それは楽しそうだな」とベリタル。
    「まぁ、このまま何も起きなければ、過激派の連中も大人しくなるだろう。数日の辛抱さ。あの爺さん達も、その間に諦めてくれたらいいんだが……」
  • 「なるほど、一筋縄でいかないってことね。だったら、しばらくは一緒に行動していた方が良いわね。冒険するって言っていたのに、ごめんなさいね」
    エリザに謝られ、シオンは首を左右にふる。
    「エリザといるのも、すっごく楽しいから嬉しいよ」と彼女の真っ直ぐで温かい言葉にエリザは照れた。
  • 「楽しい買い物になったみたいだな。顔を見りゃ分かる」と笑うベリタルに、シオンも「うん!」と笑い返す。エリザが「説明は終わったの?」と聞くと、ベリタルは複雑そうな顔をした。
    「上層部は何とか納得してくれたんだが……過激派の連中がな」
  • 楽しい。シオンは心からそう思った。屋敷にいたときも、ゼノと会えば楽しかった。けれど、こんな自由を感じたことはない。漠然と、もっと上のまだ見ぬ世界のことを思った。思って空を見上げていると、「おーい」と用事を終えたベリタルが姿をあらわした。
  • 首を縦に振ったシオンは「わ、分かりました。頑張ります……!」と呟いた後、何度もお礼を言い、何度も頭を下げた。それを見た店主は、また狂ったようにゲラゲラと笑い出す。
    「そんなに気負わなくていいよ。じゃあね、小さな冒険者さん。──また今度ね」
  • 「でも…」とシオンは助けを求めるようにエリザを見た。その視線に気づいたエリザは優しい声で言う。
    「気にしすぎよ、ここは甘えておくべきだわ」
    その言葉に店主は何度も頷く。
  • 「いい顔してるねぇ」と店主。シオンの鞄にありったけの荷物を詰めると「お代はいらないから」と手渡してくる。いつものことなのか呆れたように笑うエリザの横で、シオンは慌てて首を横に振った。
    「いいからいいから。うーん、そうだなぁ……。たまにでいいから、ここに寄って冒険譚を聞かせてよ。それがお代ってことで」
  • 棚に手を伸ばしたまま、店主が固まった。数秒の沈黙。やがて「フハッ──ハハハハハッ!」とお腹を抱えて狂ったように笑い出す。ルナティックという店名の意味が何となく分かったような気がした。
    「面白い子と知り合ったもんだね、エリザ!何を言い出すかと思えば、冒険者になりたいってぇ?」
    「そ、そこまでは言ってない……です。……と、思います」
  • 「すごいね、その歳で旅をするんだ」とルナティックの店主。シオンが翼人でないことにはすぐ気づいたようだが、エリザと顔見知りらしく、とくに気にしない。「そうね、もっと頑丈なコートに、テント、携帯食料……それに護身用具も必要かな。まるで冒険者だね」。
    聞き入っていたシオン、その言葉を聞くと、とつぜん「わたし、冒険をする!」と、自分でも思ってもいなかったことを宣言した。
  • ルナティックと書かれた店の前で立ち止まる。難しい顔をしているシオンを見て、エリザは苦笑した。
    「まぁ、私も旅なんてしたことないから、何が必要かよく分からないし……彼女に一式揃えてもらった方が早いんじゃない?」
    そう言って店の扉を開けると、カランカランという音と共に、奥から翼人の女性がヌッと顔を出す。
  • 「うん!」
    シオンがそう言うとふたりは手を繋ぐ。
    「そういえば、ここに持ってきたものは何かしら?」とエリザは問う。
    「ハンカチと救急セット…小さなキャンディ。あ!あと手帳」
    カバンの中身を見ながら答え、何が自分に必要なのか考え始める。
  • 確かに、いくら精巧な翼を背負っているとはいえ、こんなに物珍しそうにしていては怪しまれてもおかしくはない。謝るシオンに、エリザは「堂々とね」とウィンクする。
    「旅に必要なものを買うんだったわよね?私の知り合いがやってるお店があるから、そこに行きましょう」