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反転して、それでも彼らは人間なのだといったようなことを読み取ってしまうものがあったように感じる。それは作中に出てくる色々な特質を持った人達であったり、表に見える見えないに関係なく、なにかが多かったり少なかったり、曲がっていたり、そういった過不足を人はなかなか持っているものだが(完璧な人間というのは難しい。)、それでもはやり人間なのである。
また、そしてやはり、人間だからこそ、この話に出てきた所業は恐ろしいのである。
江戸川乱歩の文章への意識が変わったのも嬉しかった。他にも読んでみたい。 -
それこそ、不条理や理不尽さ、心の闇、理解しがたいことなど。
理解しがたいといえば、読んでいる最中、秀ちゃんにとっての吉ちゃんや箕浦にとっての諸戸のような、ずっと「横にいる存在がまったく別の理解しがたい気持ちを抱えている」というのは、それは本来生活で普遍的にある、「横にいる人は自分ではない」といったところをいっそ顕著にしたようなものかもしれないなと思った。
そういった、隣の人間を一個の見えぬ闇として、自分以外の人が何を考えているかわからないという不気味さを表すのが上手だった。