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母君は貴族のソレと庶民のソレを知って育った。
戦争が終わり、新しい社会に国を改革するときに、彼女は自分の子を新しい世界の船に乗せた。
過去よりも、未来を築く。
母君が、祖父が祖母が歩めなかった無垢な道。
塚原くんの父君は猛反対だったそうだ。私立は、もとは明治に急変した国際危機を救うため、当時の貴族の一派が自分の子どもを未知の文明へ開拓使として送り出す機関だった。
我が子を見知らぬ土地の見知らぬ人へ送りだす教育だ。社会保障などあったものではない。手続き不備で半数は行方知れず、残りの半数は騙され、現地に奴隷として売られた時代だ。伯爵家でも生き残り、国へ帰還できるものは少ない。
生還した子どもが大人になり、国交が安定すると国造りに邁進した。今度は国内のために人生を捧げる子どもが必要だった。
仲間を奴隷などにしてたまるか。塚原くんの父君は、率先して身を投じている勇猛果敢な人柄だった。
過去よりも、今を築く。
仲間思いに。時間は有限だ。 -
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塚原くんは知っている。
「恵まれた環境、自由きままな」両親、双方の祖父母、周りの大人。「恵まれた環境、自由気ままな」公立の同級生と教師を、彼は知っている。
塚原くんは優秀だ。塚原くんは完璧だ。塚原くんは、7つになる前に望まれた子どもとして教育を受けたのだろう。
彼は、人生は短く現代社会においては制限期間があり、彼なりに反抗期なのだという。設けられたレール通りに組み立てられる工場生産物だねと苦笑している。
彼はいつも大人しく本、書籍を読んでいる。日弱な彼は休み時間、校庭ではしゃぐ同級生を窓から見ている。
彼の読書、それは内容ではなかいのかもしれない。
僕は学校の研修期間を終えることなく、田舎にも戻れずいた時に、手を差し伸べてくれた塚原くん。
もう、子どもになりなさいと大人の僕は泣きながら話した。
大野 -
塚原くんの社交性は母君にている。彼女は控えめで微笑みを絶やさないが芯がしっかりしている。なんでもご伯爵家の末裔で、厳しい躾を受けたらしい。塚原くんは私立の良い教育を受ける予定であったが、我が国の国内発展のため公立に行かされている。
母君の父は庶民だった。才能溢れる者は養子として貴族に迎えられる。しかし内実は厳しい。姫君だった塚原くんの祖母は祖父と仲睦まじいながら、苦労が耐えず早世したそうだ。
大野