• 返信先: @自分 私の言葉に彼は更に顔をしかめる。眉間にシワを寄せ、唇を噛み締める表情は、まるで十字架にかけられたキリストだ。気の毒になるくらい辛そうな面持ちを横目に私は呟く。
    「どうせバレないだろ。面白おかしく嘘を書いて都市伝説にしたらどうだ?口裂け女とか人面犬みたいに」
    「嘘を書くったって、お前……」
    彼はテーブルに目を落とす。しばらく考え込むように俯いていたが、ぱっと顔を上げて私の顔を見つめる。
    「……なぁ、色んな都市伝説を混ぜりゃバレないよな?口裂け女に人面犬、きさらぎ駅に鮫島事件…全部ごちゃまぜにすりゃ…」
    「お前の書き方次第だな」
    私は空になったグラスを持ち上げ、取り残された氷を口に放り込み、ボリボリと噛み砕きながら彼に向かって微笑む。
    「あれこれ書いて、こう締めくくればいい。『記者の消息は不明。彼の部屋に残された書きかけの記事をなんとか完成させました』って」
返信の受付は終了いたしました。
  • スレ主(YjiZk7)2022年6月6日
    返信先: @自分 彼は笑う。この顔。そうだ、新聞部部長の顔。取材下手なくせ徹底的に書き上げないと気が済まない記者の顔。高校の七不思議調査のため、二人で深夜に校舎へ忍び込んで、警備員のおっさんにこっぴどく怒られたっけ。
    私はネクタイを緩めて言葉を続ける。
    「手伝うよ」
    彼は笑う。懐かしい笑顔で。