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魔術については種も仕掛けもない魔術であるというファンタジーさなのに、大通りですら舗装されてなくて土が剥き出しとか領主の館でも窓にガラスは無いとかベッドは寝藁とかナイフとフォークは登場しないとか、細かな生活の描写が12世紀イングランドらしくて凄く良かった。
他にも様々な文化的背景を踏まえた話が出てくるけど、ある一人だけは、自称する出自に対してその辺りの描写がいまいちスッキリしないな……と思っていたら、最終盤でその違和感がある描写の理由が明らかになって声出して驚いた。でもこの衝撃に至る情報がちゃんと小出しにされてるんだよね……。凄い。 -
普段ミステリ小説は読まないのに、何故か、12世紀末のイングランドに魔術を加えた世界観の変化球ミステリである本作にがっつりハマってしまった。
「理性と論理は魔術をも打ち破る」という登場人物の言葉の通り、記述された事柄がパズルのピースのように組み立てられていくのを読んで、これがミステリの面白さかと興奮した。
またそれだけでなく、舞台や人物の描写も魅力的だし、物語としての緩急にも惹きつけられた。自分も強い海風に吹かれながら中世の港を歩いているような気分になった。
ちょっと時代は遡るけど、ヴィンランド・サガのあれこれの描写を思い出したし、それだけ考証がしっかりしてるようだった。
ちょっと古い作品なので感想をあたったためにネタバレに遭遇したりもしたけど、それでも面白く読めたんだから、物語の作り方が上手いんだと思う。