しりとりで小説作ったー

2022年7月9日に作成 #ネタ
しりとりで小説を作りましょう!
多少話に整合性が取れなくても大丈夫!気軽にどうぞ!

NGは中傷など倫理に悖るもの
その他しりとりのルールに則っていないものや、単語のみもNGです
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  • 「ただ話したいだけなら他を当たれば?」と少年。以前より強くなったとはいえ、ここまで素っ気なくされると、さすがに心が折れそうだった。呆然とするシオンの横を通り過ぎ、少年は上に続く階段へ向かう。
    「ま、待って。あなたも上に行くの?」
  • かなり素っ気ない対応にシオンは困りながらも話す。
    「あ!でもね、護身用の武器ならあるの」
    「ふーん。それ、俺に言う必要ある訳?」
    少年はつまらなそうな瞳でシオンを見た。
  • 「うーん……別にこれじゃないと駄目なわけじゃないけど」と少年は光線銃を見ながら「武器くらい持ってた方がいいよって話」と素っ気なく続けた。
    「もしかして、忠告してくれてるの……?」
    「まさか」
  • 「いえ…、わたしは持ってないよ」
    「あっそ」
    少年から聞いてきた割にはそっけない返答。以前のシオンなら落ち込んでいただろう。
    「ここには、その武器が必要なの?」と少年に問う。
  • 「関係ないでしょ、あんたには」と鋭い声が返ってくると同時に、短髪の黒い髪の少年がシオンのいる踊り場まで上がってきた。おそらく、鋭い声の人物だろうとシオンは思った。
  • 退路を確保しようと辺りを見渡すが、ここには上へと続く階段しかない。全速力で駆け上がったところで、すぐに体力が切れてしまうだろう。シオンは思い切って声を上げた。
    「誰ですか……!?」
  • 石造りの壁を触れながら階段を登ると、平らで広いスペースに着く。
    「ここは踊り場かな…」とシオンは周囲を見渡す。
    その時だった。コツコツコツ…と、誰かが登ってくる音がする。シオンは警戒した。
  • 「とにかく登れ。無理だったら降りろ。俺たちはここで待っているぜ」。少し苦しそうなベリタル、そしてエリザ。「わかった、登れるところまで行く。新しい世界を見たら、絶対に伝えに戻るから」と、シオンは言って、塔の階段を登りはじめた。この先、モンスターやなにか、出てくるかもしれない。
  • 高いところまで来たからだろうか、少しだけ息がし辛い。ベリタルの「あとはひたすら登っていくだけだ」という言葉に、シオンは頷く。指輪から放たれているルビー色の光は、徐々に輝きを増していった。
    (……お母様が力を貸してくれているんだ、きっと)
  • ルビーの指輪がほのかに点滅をはじめた。ちょうどその時、ベリタルが「そろそろ俺たちには厳しくなってきたな……。止まるぞ、シオン」といって、塔の中の一室に飛び込んだ。中は、無機質な石造りで、がらんとしていた。
  • 「たまにでいいから、ここに戻って来るって約束して」と言うエリザに、シオンは力強く頷いた。
    「またいつか、必ず会おう。──"嬢ちゃん"」
    今となっては懐かしい呼び名。涙をグッと堪えながら、シオンはルビーの指輪に祈りを込めた。別れの地点がすぐそこまで迫る。
  • 嬉しそうな顔をしているシオン。それを横目で見るエリザとベリタル。
    「わたし、ベリタルとエリザに会えてよかった。ふたりとも、ありがとう」
    ポツリと呟く。
    「そういうの、やめて欲しいわね。一生会えない感じがするわ」とエリザは言った。
  • (高い……。何メートルくらいあるのかな)
    どんどん離れていく地面を見ながら、シオンは思う。以前のシオンなら「怖い」と感じていたかもしれない。──だが、今は違う。
    (ここよりも上の世界……どんなところなんだろう!)
  • なんて高い塔……! あらためて、その前に立ったシオンは思った。「飛べるところまでは、おれとエリザが引っ張ってやる。そのあとは、おれたちにもわからん!」。そういって、シオンは二人の手に引かれて塔の外側を上昇しはじめた。
  • 「大丈夫。何が起こっても、今のわたしならきっと大丈夫だよ。だから、心配しないで」
    断言するシオン。彼女の成長を目の当たりにしたベリタルは、嬉しいような寂しいような複雑な気持ちになった。
    (……シオン。やっぱり君は、あの人の娘なんだな)
  • 「いい子ね」とエリザはシオンの髪を撫でる。
    シオンはぶどう色の瞳を嬉しそうに細めた。
    「シオン。もし…もしもだ、俺達と別れたあと…あの兄ちゃん達が来たらどうする?」
    ベリタルは不安そうだ。
  • 「うん、分かった」とシオン。腰まで届く長さだった髪は、エリザによって肩の辺りまでバッサリと切られている。これはシオンの希望であり、決意の表れでもあった。もう、屋敷を出る前の弱い自分ではない──。
  • 「うーん、わたし、髪型とかよくわからない」とシオン。じゃあ、任せてとエリザ。……そんな風にして数日が過ぎた。そろそろシオンが旅立ってもいい日だ。「まずは、俺たちが行けるところまでは案内する。あとはお前次第だ。危なくなったら、引き返すのも勇気だぞ」とベリタルが言う。
  • 「たくさんシオンが笑うようになってくれて、俺は嬉しいよ」とベリタルに急にそう言われ、シオンは驚くと同時に少し照れた。
    「そうね、いろんな表情が出ていて素敵だわ。…そうだ、シオンちゃん。ヘアアレンジしてみないかしら?」
    腰までの長さの茶色髪のシオンを見ながらエリザは言う。