しりとりで小説作ったー

2022年7月9日に作成 #ネタ
しりとりで小説を作りましょう!
多少話に整合性が取れなくても大丈夫!気軽にどうぞ!

NGは中傷など倫理に悖るもの
その他しりとりのルールに則っていないものや、単語のみもNGです
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  • たたたっと階段を登ったシオン。背後から凄まじい閃光。振り返ることはできない。ジュンは、あの翼人たちはどうなったの? 光の中でしゃがみ込む。と、そこへ、「何やってるの?」と声がした。
  • 「ガキ2人くらいなら、簡単に捕まえる事ができるな。まぁ逃げれないように攻撃しとくか?」と武器を持った翼人のひとりが言う。
    その言葉にシオンは怯えた。しかしジュンは何も言わず、閃光弾を投げた。
    「シオン、今のうちに逃げなよ」
    彼はシオンのことを軽く押した。
  • 「上の世界まで逃げるつもりだったんだろうが、爪が甘かったなァ」
    三、四人──いや、五人くらいだろうか。武器を持った翼人達がゾロゾロと姿を現す。その中の一人が「ん?」と言いながら、シオンを見た。
    「坊主一人じゃなかったのか?小娘も居るみたいだが」
  • 「ねぇ、ジュンも一緒に逃げようよ!」
    強くなったシオンだが、もしここでジュンを失ってしまったらと思った途端、怖くなった。ひとりで進む怖さよりも、失う方が嫌だった。
    ジュンが眉間にシワを寄せた時──。
    「ほら、いたぞ」と過激派がニヤリと笑いながら言う。
  • すぐに動かないシオン。
    「あんた、聞こえてる?早く上に行って」
    「わたしを助けてくれた翼人は、途中までしか来れなかったの。だから、ここまでは来ないと思う」
    ジュンは首を左右に振ってから「過激派を甘く見たら駄目だから」と言った。
  • 「確かなんだろうな?」
    「ああ、間違いなくここに入っていった」
    複数人の声と足音が聞こえる。ジュンは「過激派のやつらか」と舌打ちした。
    「上手く撒いたつもりだったけど……。とりあえずアンタは上に行って」
    光線銃を構えたまま、シオンにこの場から離れるよう促す。
  • 「けど、じゃあどうやって逃げれたの?」
    質問ばかりするシオン。
    「あんたさぁ…、鳥頭わけ?光線銃、見せたじゃん。これで倒して逃げたんだよ」とジュンは飽きれた声で言った。シオンがなにか言おうとした時───。
    「黙ってくれない?後ろから誰か来てる…」
    ジュンは足を止め、光線銃を構えた。
  • 黒い羽の翼人が存在しているなんて知らなかった。ジュンの後ろを歩きながら、シオンは質問を続ける。
    「連れ去られたっていうのは……?」
    「悪魔羽の中には人間の子供を攫って奴隷にする連中が居る。要するに、俺は元奴隷ってわけ」
  • ニコリとも笑いもしないジュン。
    「そのままだよ。童話とかで見るでしょ、コウモリみたいな羽。それが悪魔羽」
    シオンは納得したようで頷く。
  • 怪訝な顔をするシオン。ジュンは溜息混じりに「アンタ、本当に何も知らないの?」と言うと、面倒そうな顔をしながら再び説明し始める。
    「俺は悪魔羽の世界に連れて来られた人間。こっちに逃げてきて、今は上の世界に行くため塔を登ってる。はい、質問は?」
    「え、えっと……悪魔羽って何?」
  • 首を傾げるジュン。シオンは少し悩んでから、質問をした。
    「ジュンはどうやって、翼人のいる世界に来たの?」
    「は?アンタそんなの気になる訳…?……まぁ、答えるけど。最初は、俺は悪魔羽の方の翼人の世界にいた。と言っても、無理矢理連れて来られただけ」
  • 頼れる後ろ姿を見ながら、シオンはふと思った。ジュンの背中には羽がない。何故、人間である彼が翼人の世界に居て、この塔の、しかも上層階を登っているのだろうか。ベリタル達が居なければ、自分はここまで辿り着けなかったのに──。シオンの視線に気付いたのか、ジュンが「今度は何?」と振り向く。
  • けろっとした顔でシオンは「ううん、なんでもないよ」と言う。
    「あっそ。にやけてる暇あったら、さっさとついてきて」
    やはり素っ気ない。が、彼の優しさを垣間見たからだろうか。よくジュンを見てみると、シオンの歩くペースに合わせて前を歩いている。
    そのことに気付いたシオンは、また嬉しそうに笑った。
  • できる限りは守る、と言っているも同然だった。彼の優しさを垣間見たシオンは、フフッと表情を綻ばせる。
    「何で笑ってるの」
    「ううん、何でもない。ありがとう、ジュン」
    「……何、急に。感謝されるようなことしたっけ」
  • 急いでジュンのあとを追う。シオンの気配を感じたのか、彼は声を出す。
    「え、なに?ついてくる訳?」
    「う、うん…。駄目だったかな?」
    少しの沈黙のあと、ジュンは答えた。
    「駄目ってわけじゃないけど、俺もふたり分の命守れるほど強くないから、たくさんは頼らないで」
  • 高い塔での思いがけぬ出会い。いきなり襲ってくるモンスターに遭うよりずっとマシ、とシオンは思い直す。と、その間に、ジュンは黙って階段を登っていた。少なくとも、敵ではない。今はこの少年についていくしかない。
  • えんじ色の瞳の少年はシオンを見る。
    「あっそ」と少年は言った。
    やっぱり素っ気ないとシオンは落ち込む。
    「俺はジュンだから」
    少年…いやジュンはシオンの近くまで寄り、名乗った。
  • 「上の世界まで行くつもりなの?」
    「この塔に来る目的なんて、それ以外にある? アンタだってそうでしょ」
    「……シオン」
    「は?」
    「アンタじゃなくて、シオン……です。わたしの名前」
  • のそのそとシオンは少年のあとを追う。
    「上に行くけど…なに?」と少年はシオンの問いかけに答えた。
    素っ気ない少年だが、質問には答える。きっと本来は優しい子なのだろう。