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それから数日、光の世界は表面上穏やかに過ぎた。
たくさんの魂たちのうち、ある者は転生先を得て旅立ち、またある者は緩やかな時を楽しむ。
ソランとシャランも知己のうちひとりをしばらく見ていないことに気づき、おそらく旅立ったのだろうと、彼の幸多からんことを祈った。
今日の二人はお弁当を持って森近くの草原に遊びに来ていて、花を眺めて匂いを楽しんだり、森に少し入って生き物たちと
軽い追いかけっこをしたりして過ごしていた。
「あははっ、鹿さんって脚速いねぇー!おいらもうくったくただポン~」
木々の中だというのに軽やかに走り回る鹿はパワー型のソランにはやや荷が重かったらしく、森のすぐ出口の草が深いところでひっくり返ってしまった。
やや離れて草の背が低くなっていくあたりに鮮やかな布が広げられていて、そこには金の髪にややシャープな輪郭の妙齢の女性に見える人物がおり、彼女はそんなソランを見てくすくすと笑った。 -
「う~~~ん、聞いたこと無いポン。でもそんな魂がいたら、それはずいぶん悲しい事だポン・・・その、彼女?彼?にも安らぎが訪れてほしいっポン」
神妙な表情で、わたあめをばくばくと食べ続ける。
「・・・そうポンね、シャランちゃんは優しいポン」
わたあめを食べているシャランの腕に腕を絡ませ、勢いよく体を寄せる。その勢いで、シャランは一歩たたらを踏んでしまう。
「ちょっ、ソランちゃんは力が強いんだからセーブしてって昨日も言ったポン!」
「ごめんっポン☆」
「んむ~~~、今日の晩御飯をソランちゃんが準備してくれたら許すポン」
「わっ分かったポン、任せるっポン!」
にぎやかな青と金の後ろ姿は通りを小さくなっていく。同じ通りを、疲れ切ったような酔ったような足取りで歩く魂がいた。
赤い三つ編みに古びた緑の服を着たその存在は、すぐに角を曲がって見えなくなった。