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固まっていた人々は、急に静かになってようやく自分たちが目を瞑っていたことに気付き、ゆっくりと瞼を開いて上をみた。急な静けさの原因を知りたい者もいたし、何かが終わったのなら、何かが目の前に現れるんじゃないかというものもいたし、専門家に説明を求めようと考えたものもいた。
しかし、その静かな一瞬で全員等しく上を向き、そしてまた、全員等しくその〈笑い声〉を聞いた。
下卑た、下品な、喜びに満ちた笑い声。
ケタケタと馬鹿にし、見下すような色を曝す嘲笑が、天から人々へ降り注ぐ。人々は、怒りと同時に、絶望に似た無力を感じていた。──我々は、誤ったのだ。出しては行けないものだった。聖なる存在などでは無かったのだ。
笑い声は騒ぎ出す、姿も見せず。
「許しを、赦しを出しおった!!得たり、得たり!!我ゆるしを得たり!!」 -
どこともなく風が吹き始め、白く晴れていた空は徐々に黒い雲を連れてきた。びゅうびゅう、ごうごう、専門家が異国語のような耳慣れない言葉を叫ぶようにして唱えている。だがそれすらも強風の音でかき消されるようだった。昼過ぎだというのに、いよいよあたりは真っ暗になってきて、さっきまでの天気が嘘のように激しく縦に横に揺さぶられる。皆コートやジャケットの襟元を掴んで、飛ばされないようにぎゅっと固まっていた。異国語の言葉はどんどん語気を強めていき、いよいよ稲妻と区別がつかないような音になった時、どどぉんと本当の雷鳴がひとつ轟いて、途端に、すべての音がぱたりとやんだ。