しりとりで小説作ったー

2022年7月9日に作成 #ネタ
しりとりで小説を作りましょう!
多少話に整合性が取れなくても大丈夫!気軽にどうぞ!

NGは中傷など倫理に悖るもの
その他しりとりのルールに則っていないものや、単語のみもNGです
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  • 「たとえば、どんなことが知りたいんだい?」とベリタルはシオンに聞く。
    シオンは迷わず答える。
    「なんで、違う世界の住人と関わってはいけないの?」と。
  • 「無理しないことよ」とエリザ。「大丈夫。なんか、とてもいい気分。不思議だけど。ねえ、この世界を教えてくれない? もっと知りたい。全部知りたい」とシオンは言う。今まで感じたことのない高揚感を感じた。
  • よしよしとシオンの頭を撫でるエリザ。
    「お嬢ちゃん、水でも飲むか?」
    ベリタルはグラスに入った水を彼女に差し出す。
    シオンは体を起こし、お礼を言ってから水を受け取った。コクン、とひとくち飲む。
  • 「大変だったでしょう?とにかく今はゆっくり休んで」とエリザ。当初は怖がっていたことを謝りたくなるくらい、優しい声。シオンの気持ちを察したのか、エリザは照れたように目を逸らす。
    「……何?別にお礼なんていらないわよ?」
  • だいぶ時が経っただろう。シオンは目を覚ます。
    視界に真っ先に入ったのは見覚えのない天井。
    「よかったわ、目が覚めたのね」とエリザはホッとする。
    「今までの事を覚えているかい?お嬢ちゃん」
    ベリタルの問いにシオンは「うん、覚えてるよ」と答えた。
  • 「ううむ、この光……。いったん退くしかありませんな」。アルバスはそう言うと、老人とは思えないスピードと腕力で、茫然自失のゼノを抱えて龍型飛行体に戻る。キーンという音を立てて下界へ去っていく。
    シオンは全身の力が抜け、その場に倒れ込んだ。
  • 首をゆっくりと横に振るシオン。言葉はない──が、それだけでゼノはその場から動けなくなってしまう。その隙をついて、ベリタルはゼノの刀を奪う。
  • 「そんな…、シオンが僕に…」とゼノはシオンが牙を剥いた事にうろたえる。
    ベリタルやアルバスも、たった今、彼女がとった行動に驚く。
  • たちまち勇気がどんどん湧いてくるシオン。
    地面に落ちている小石を拾い、ゼノの肩に当てる。
    「ゼノ、やめて」
    短い言葉だが、ずっしりとした威圧のある声。
    普段のぽそぽそとした彼女の声とは大違いだった。
  • 不格好な体勢でゼノの斬撃を避けるベリタル。「いくらおれたちが頑丈だからって、痛いのは嫌だね!」。ゼノは、その言葉を無視して立て続けに斬りかかる。なんとかかわし続けるベリタル。
    シオンは眼の前で行われている暴力に、体が動かなくなった。わたしの平和な世界で、こんなことは一度も見たことがない。なのに、ゼノはどうして……。
    その時、突如ルビーの指輪が光を放った――
  • たしかゼノの持ってる武器は、高度非殺傷刀。殺傷能力はない、はず。だから、命は奪えない。…もしかして、無力化させてから倒すの?
    外の世界の知識がないシオンだが、次々に思い出すように知識らしきものが脳裏に浮かぶ。
  • 「いい加減なこと言わないで!二人はわたしを助けてくれたの!優しい人達なの!だから──!」
    シオンがここまで感情を露わにしたのは初めてだった。驚くアルバスだが、ゼノは全く動じない。
    「大丈夫。分かってるよ、シオン。この翼人達を殺せば、君は僕の元へ帰ってきてくれる。……そうだろう?」
    そう言うと、ゼノは突然ベリタルに斬りかかった。
  • 「よからぬ事を教え込まれたのでしょう、こやつらに」
    アルバスはエリザたちを見ながら言う。
    シオンの表情は読み取りづらい。
    長年一緒にいてもわからない時がある。が、今回は違った。怒りをあらわにしている。
    「違う…。ベリタルもエリザもそんな事してない!!」
  • 「一体どうしたのかな、シオン。……さっきは帰ると言ったよね?」
    シオンは首を横に振り「今のゼノは、おかしい。正気じゃない。だから……帰らない」と言い放つ。ゼノの顔からスッと笑顔が消えた。高度非殺傷刀を抜きながら、ゾッとするほど冷たい声で呟く。
    「──僕はいつだって正気だよ」
  • 「手間を増やすな!!羽の生えた女!もう少しで、シオンは戻ってきそうだったんだぞ!」
    ゼノはエリザに言った。
    (あれはゼノじゃない…。あんな酷いこと、言わない)
    シオンは目を開けると同時に、ルビーの指環が柔く光るとやはり勇気が湧いてくる。
    「やっぱり…わたし、今のゼノの手は取らない」
  • (駄目……。わたし、また弱い子に戻ってる。何のために、お屋敷を抜け出したの?何のために、ベリタルと一緒にここまで来たの?何のために──)
    シオンはギュッと目を閉じ、ルビーの指輪に祈りを込めた。
    (お願い、お母様。わたしに……わたし達に、力を貸して!)
  • 「脳に響くうるさい声ですね。お嬢様から、提案してきたのですよ?邪魔しないで頂けますかな?」とアルバスは言う。
    その時だった。
    「シオンちゃん!!あなたはこの人間らの言いなりになって言い訳!?こんなところで、いい子ちゃんになるんじゃないわよ!」
    エリザはシオンに向かって叫んだ。
  • 「うん、わたし、帰る」。……そう言いかけるシオン。が、ベリタルが声を上げた。「おい、あんちゃん、お嬢ちゃんの気持ちを考えてるのか!」。虚な目でベリタルを見るゼノ。シオンは思い直す。このゼノは、わたしの知っているゼノなの?