• 去年の暮れに祖母が亡くなった。
    もうすぐ九十になるところで、大往生と言ってもいいと思う。
    祖母はヒステリックなところがあり、母からすれば何故長男ではないはずの我が家が新婚から姑と同居しなければならなかったのかとずっと悩んでいたが、長く苦しんだ末に亡くなったこともあり複雑な雰囲気だった。

    コロナで数年ぶりに会った祖母は窶れていて、入院生活の過酷さを感じさせる姿だった。
    祖母が一番気に入っていて似合っていたピンクグレーの帽子ではなく濃い紫の帽子を被っていて、血の気が引いて黄色くなってしまった肌との不調和を、「お祖母ちゃんは色白だったから紫が映えるわね」と話すのに違和感を感じていた。
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  • スレ主(8KJ2Pg)2023年1月6日
    棺の周りにはピンクの花が好きだった祖母のために、今風にたくさんのピンクの花々が飾られていた。
    金魚草、ガーベラ、百合、どれも可愛らしい雰囲気の祖母に似合うけれど、祖母が一番好きだった色だけがなかった。
    泣き虫でよく祖母に縋りついて泣いた私を、「千枝ちゃん、また兎さんのお目々になってるわよ。ほら、お祖母ちゃんが大好きなお花を一緒に見ようね」と連れ出してくれた時に見ていた、あの色だけがなかった。
  • スレ主(8KJ2Pg)2023年1月6日
    返信先: @自分 葬儀も終盤になり、とうとう出棺前の最後のお別れになり、お花を棺に入れていく。
    「あんたが孫の中では一番可愛がられていたから、お祖母ちゃんが見られるように顔の近くにお花を入れてあげて」と母に勧められ、祖母の顔に近づいたところでやっと気付いた。

    綺麗に死化粧の施された祖母の、薔薇色の、唇。

    祖母が一番大好きだった色は、納棺師の方によって、ちゃんとそこにあった。

    数年前伯母が祖母より先に逝ってしまった時に伯母が生前使っていた化粧品を使って死化粧をしてもらった時に、納棺師の方が手を尽くして下さっても口紅の色が上手く出なかったのに。
  • スレ主(8KJ2Pg)2023年1月6日
    返信先: @自分 火葬場で「私はお祖母ちゃんをちゃんと送ってあげられたのかな。私が避けていてろくに話もしなかったけど、もっといいやり方があったんじゃ」と泣きじゃくる母を慰め、初七日を済ませ、新幹線で一人暮らしの自宅に帰って年を越した。
    今年のカレンダーの一枚目を捲り、私の誕生日の翌日に丸をされた祖母の誕生日と一月の薔薇の花束の写真が見えたらもうダメだった。

    母の気持ちを良く知っているから私はどういう気持ちでいればいいのか分からなかったけど、つやつやの薔薇色の爪と頬と唇とあったかい手を持った祖母は、もう二度と春を迎えてあんなに似合っていた薔薇色を見ることがないんだと思うと、やっとちゃんと悼むことができた。

    「千枝ちゃん、兎さんのお目々ね。」と、あの日の声が聞こえた気がした。
  • じーん。合掌(T_T)
  • スレ主(8KJ2Pg)2023年1月6日
    返信先: @NLCK/.さん 保守がてら、お題【うさぎ】で書きました。
    明るい話を書きたかったんですがどうしてこうなった…