小説書いったー1000

2022年10月22日に作成 #趣味
420文字~1000文字の間の小説を書きたい方向け
420文字では足りないというかたにおすすめです。

お試し
このTterは自動削除されたか、作成者によって削除されました。
アーカイブのみ閲覧できます。
  • ほしゅ
  • 干す
  • とある小さな銀行の銀行員が、大金持ちを銀行に呼び、狐のような顔をニヤリと歪めていった。
    「うちは小さいけれど、セキュリティは万全です。
    お金を預けてはもらえませんか」

    大金持ちは訝しんだ。
    「君のところはどうにも信用が置けない。
    事件だなんだって、幾度か新聞にも名が載ったじゃないか。」

    銀行員は自信ありげに言った。
    「けれど、盗まれたことは一度もありません。
    お疑いでしたら、今度人を雇って、夜にでも私の銀行へ盗みに来てください。
    金庫はこの部屋の横ですよ。
    そこに扉があるでしょう。」

    大金持ちはしばし考え、狸のように笑って頷いた。

    大金持ちと銀行員は、また金庫の隣の部屋にいた。
    大金持ちはやけに芝居がかった口調で言った。
    「君の金庫は、本当にセキュリティがしっかりしているらしい。
    全く素晴らしいことだ」
    拍手でも始めそうなほど大袈裟に褒めた大金持ちは、懐から小刀を取り出した。
    「しかし、難しいことじゃあない。
    君に持ってきてもらえばいいんだから。」
    大金持ちは小刀を突きつけて、またニヤリと笑う。

    銀行員は両手を上げて、おどけたような口調でこう返した。
    「まったく、そりゃあ名案だ。」

    狐のようににやりと笑い、そしてこう付け足した。

    「けどねぇ、金に目が眩んじゃあいけませんよ。」

    その後、大金持ちは別の部屋で待機していた警官によって取り押さえられ、殺人未遂で多額の賠償金を銀行へ支払った。

    今回もまた、銀行は新聞に載ったらしい。
  • ほしゅ
  • ところで、この卵からは何が産まれると思う。
    男と『私』の間にある台の上に大小さまざまな鳥類の卵が乗せられている。白いものがあれば赤味を帯びたものもある。
    『私』が手のひらで握り込める小さなものを指してこれは鶏の卵だろうと答えれば、男はひび割れた声でそうだなと頷く。
    「だが、残念だ。この卵は無精卵だから何も産まれやしない」
    「……じゃあ、その大きなものは」
    男は無言でそれを地面に落として割る。恐らく無精卵だった。
    そもそも、『私』は何故、何を男に問われているのだろうか。その疑問を口にする前に男はもう一度選べと促す。
    「ここは選定の場だ。あんたは選ぶだけでいい」
    「……その、灰色のものは」
    「これも無精卵さ。あんたは堅実すぎてつまらない」
    男が卵を幾つか取って手のひらで転がす。紫や緑色の卵がぶつかって、硬く空虚な音を立てる。
    紫色の卵を割る。何も無い。
    緑色の卵を割る。何も無い。
    地面に広がる色とりどりの殻を踏めば、手応えも少なく砕けた。ジャリ、と不快な感覚が靴越しに伝わる。
    「あんたが選ばなきゃ何も無いんだよ。その卵の中には」
    男がため息混じりに言う。
    「選んでみな。そこから何が産まれるか願うんだよ」
    「……。ああ」
    きっとここから雛は産まれないのだとやっと分かる。次いで割った卵からは鶏が産まれた。
    「はは、卵が先だったか」
    「いや、鶏が先かもしれない」
    無意味な問答だと思う。男はそれからは何も言わず、『私』が成す事を見ていた。
    猫、犬、豚。本、かぼちゃ、金。沢山のものが産まれた。
    ふと、『私』は恐ろしくなる。
    この選定が終われば彼らは何処に行くのだろうか。彼らの役目とはなにか。
    「無辜の人々に与えられるのさ」
    「それはいい事なのか」
    「いい事さ。あんたが無辜の人々を選んだんだぜ」
    「……卵が先か、鶏が先か」
    「あんたが選んだのか、あんたに選ばせたのか。好きに思ってくれていいさ」
    男は皮肉っぽく笑ってみせ、先程無精卵だと言った卵を手に取る。
    「コイツらにも一応、お役目はあるんだぜ」
    では、男の役目は……。
    「俺はあんたを見守るだけさ。さあ、続きをやってくれ」
    男に促されるまま青色の卵を手に取って、産まれるものを想像する。
    「ああ、そうだ。この選定が終わればあんたは何もかも忘れるぜ。残念ながらそういう風にできてるんだ」
    「……構わないさ」
    『私』は最後の卵を手に取った。
  • 保守
    早く通常アイコンになればいいのにね
  • ほしゆ
  • 魔法使いはお腹が空いた。
    山にある果物や動物だけでは賄えない空腹を、森に迷い込んだ子供で満たそうとした。
    ヘンゼルとグレーテルに焼き殺された、あの魔女ほど愚かではない。
    捕まえた子供にバレないよう、食事を振る舞い、食うのを確かに眺めていた。
    「ああ坊や、可愛い子。
    もっともっとたくさんお食べ。
    大きくなっても変わらずに、私の傍にいればいい。
    私が愛してあげようね。」
    子供が逃げようなどと考えないように、魔法使いはいつもそう子供に語りかけた。
    子供は大きくなった。
    けれど、食べる量の割に、なぜだかあまり肉は付かなかった。


    魔法使いは坊やから少年に変わった子供の傍にいた。
    「ああ坊や、可愛い子。
    もっともっとたくさんお食べ。
    大きくなっても変わらずに、私の傍にいればいい。
    私が愛してあげるから。」

    子供は病に罹り、口減らしに捨てられた。
    食べても食べても力がつかず、力仕事にさえ使えない。
    親は彼に呆れ果て、魔女を殺すグレーテルさえ与えないまま、夜の森の餌にした。

    魔法使いは怒り狂った。
    「話が違う、この嘘つき。
    お前は骨と皮ばかり。
    食べても美味しくないんじゃないか。」
    だったら家事くらいしてごらん。
    寝転がってこの役立たず。
    さっさと口を開けたらどうだい、我儘言わないで食うんだよ。
    毎日毎日言ったろう。
    逃げずに私の傍にいろ。
    私から逃げてどこに行く。

    病の治療法など知らない魔法使いは、もう口さえ開けぬ少年の口に、ただただスプーンを押し付けるばかりだった。
  • ほしゅ
  • ほしゅ
  • 投稿してみたいので保守
  • Tter主(oJwyp8)2022年10月22日
    お試しとして作成しました。
    ご意見ご質問などありましたら、
    この投稿の返信に書き込んでいただけると幸いです。

    小説書いったー
    お題で小説書いったー
    もよろしくお願いします。