しりとりで小説作ったー

2022年7月9日に作成 #ネタ
しりとりで小説を作りましょう!
多少話に整合性が取れなくても大丈夫!気軽にどうぞ!

NGは中傷など倫理に悖るもの
その他しりとりのルールに則っていないものや、単語のみもNGです
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  • 「……能天気だね」と呟くジュンの瞳が揺らいだ瞬間を、シオンは見逃さなかった。──大丈夫。ジュンなら、きっと分かってくれる。だって、本当は優しい男の子なんだから──。そう思っていると、ジュンが観念したように両手を挙げた。
    「はいはい、分かった。分かったから。とりあえず一時休戦ってことでいい?」
  • 「ねえ、そんな言い方ひどいよ!」
    俯くレリアを見たシオンはジュンに言い返す。
    「は?なんでアンタはさ、そんなに悪魔羽の肩を持つわけ?同じ顔だから?」と彼はシオンは睨んだ。
  • 「無駄口叩いてないで、ここから上に行く方法でも考えたら?」
    階段は途中で途切れており、塔の天辺まではかなりの高さがある。人間の力で垂直に登っていくのは不可能だろう。ジュンはレリアに冷たい視線を向けながら言った。
    「そこの悪魔羽は飛べるから楽でいいよね」
  • つんつんとレリアはシオンの肩を突く。
    「どうしたの?レリア」とシオンは優しく聞いた。
    「あそこから、上の世界に行けるかな…?」
    彼女の問いにシオンは「きっとそうだよ」と答える。
    が、ふたりの会話にジュンはイライラしながら口を挟む。
  • だいぶ登ったところで、ジュンが何かに気付いたように上を見た。シオンとレリアも同じ方向に目を向ける。ポッカリと空いた円形から淡い光が差し込んでいた。──きっと、あの先が上の世界だ。シオンの鼓動がワクワクと脈打つ。
  • 悔しい。もっと説明ができていれば…とシオンは思った。レリアは何度も謝罪する。
    こういう所も以前のシオンにそっくりだった。
    「レリア、気にしないで」
    微笑みながら、シオンは彼女と手を繋いだ。
  • 納得できるわけがない。奴隷として過ごした日々のことを思い出し、ジュンは眉を顰めた。
    「悪魔羽なんて信用できるわけないでしょ。それを庇おうとしてるアンタもね」
    戸惑うシオンを押しのけ、ジュンは一人で上に登っていく。
  • 怪訝な表情を崩さないジュン。レリアはというと、彼の姿を見るなり、シオンの陰に隠れてしまった。引っ込み思案なところもわたしに似ている、とシオンは思う。が、この状況をジュンに説明しなくてはいけない。でも、なにをどう説明していいのかシオンにもわからない。「ええと、とにかく、彼女は敵ではないの。わかってくれるかな?」
  • 「助かったけどさ。さっきの赤い光、何?」
    そう言いながら階段を登ってきたジュンが、レリアの姿を見て怪訝そうな顔をした。
    「……どういう状況? 悪魔羽の双子なんて居たわけ?」
  • 乗り気になったのかレリア、「この石はね……」と言いかけるが、口をつぐんだ。「……いや、あのね、わたしたち黒羽根はこの高さにも耐えられる。翼人のオリジナルはわたしたちだから。さっき来ていた翼人は特殊なマスクをつけているの……」と、話を逸らした。
  • たちどころに、薄暗い塔の階段が赤く染まる。……いや、シオンのルビーだけではない。レリアの胸元からも、同じ光が放たれている。レリアは驚いた表情で聞く。「なんで……あなたも、わたしと同じ石を持っているの?」
  • いよいよ混乱するシオン。ベリタル達が「翼人は途中までしか登れない」と言っていた塔の中で、ジュン、過激派の翼人達、自分にそっくりなレリアと出会った。想定外のことが起こり過ぎて、どう行動するべきなのか分からない。
  • 「たしか、翼人たちは上の世界には行けないんだよね?」とシオンは言った。
    しかしレリアは何も答えない。
  • 黒い羽をつけた、自分にそっくりな子。上の世界に行くという。今のところ、敵意は感じられない。それでも、こんな塔でとつぜん遭遇したのだ。とにかく、こちらも敵意がないことを示さないと。そう思ったシオンは、これまでの事情を包み隠さずに語った。レリアは黙って聞いてくれた。
  • 「レリア…」と黒い羽をつけた女の子は名乗る。
    彼女の発言のあとに、シオンも名乗った。
    「ねぇ、レリアも上の世界に行くの?」
    シオンがそう聞くと彼女は頷く。
  • たらりと脂汗が流れるシオン。
    (敵だったらどうしよう…。わたし、護身用の武器で戦えるかな…?)
    恐る恐る声のする方に視線を移す。