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物語書いったー
物語書いったー
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井下は、タイムラインが切れた最初の現場である、Twitterへと向かった。
頑張りますので保守
...どうか、この場所が緩やかに物語を綴れる場所で有り続けますように。
それまで保守
ししゅう針が生き物のように動く。
ゆきのように白い布に模様が舞う。
※縦読みです。
長いので下げ
飲み物売り場に向かう。
小学生達が店内で何を買うか悩んでいるのを
横目に扉を開けていつもの
ミネラルウォーターを取り出した。
お会計に向かいお金を払う。
袋のかわりにテープを貼ってもらい、
ちょっとだけ、エコロジーな自分に酔う。
小学生達はまだ悩んでいるようだ。
自動ドアが開き、外に出る。
気温差に体が悲鳴を上げそうだ。
まだまだ暑いけれど、夏休みも終わる。
そしたらきっとこの時間のコンビニは
静かに、少し寂しくなるのだろうなと
思いながら、ミネラルウォーターを
蓋を捻った。
大事に付き合っていこう。
そして保守もしておこうかしら。
そう言った目の前の男は、ジョッキの酎ハイを煽りながら、焼き鳥を千切るように噛み付いていた。大変旨そうだ。
「それが虚しいって顔かよ」
「はっ。お前には分からんだろうな……俺の心には今カラカラに渇いた風が吹き、何をやってもまるで砂を掴むようなのだ」
まるで砂漠だ……と呟きながら、また酎ハイを胃に流していた。
どこが渇いた風だよ。レモン酎ハイの爽やかな風じゃねぇか。そうツッコミたかったが、この頭でっかちな友人には屁理屈で返されるだけなのである。喉元まででかけた言葉を、キュウリの漬け物で飲み込む。歯応えのある食感に幾ばくか溜飲も下がる。
「あァ……虚しいねぇ全く」
まーた言ってるよ。今度は鳥の塩焼きをつまみながらだ。どこが虚しいんだよ、これ全部俺の奢りにするくせに。
「まったく虚しいよ」
俺はそう呟くと「お前もとうとう分かるクチになったか」と先輩風を吹かせてきやがる。俺はポケットに入ったカラカラの財布を思い、重い溜息を吐いた。
日傘のお陰でだいぶマシではあるが
やはり暑い。
道路を挟んだ向こう側の歩道に
可愛い柴犬を連れた人を見かけた。
すれ違う人にも尻尾を振る人懐っこい子だ。
その光景を観ながら、
靴越しにもわかる
アスファルトの熱さを感じた。
犬の肉球は大丈夫かなぁと思いながら
彼、もしくは彼女達の歩く方向に
ある施設を思い出した。
(あっ)
おそらくお利口な子なら今のニコニコ顔が
スンッ…と消えて尻尾は足の間に入るだろう。
(お大事に)
彼、もしくは彼女の健康を祈り、
駅へ向かった。