詳細を閉じる
物語書いったー
物語書いったー
4ページ目
にゃ~んと欠伸した猫とは違う猫が
顔に擦り寄り、甘え声を上げる。
いつの間にかソファで眠っていたようだ。
顔を猫の方に向けると視界いっぱいに愛らしい顔を見れる。
あぁ…幸せだなぁ…と噛み締めていると
カーテンレールの上からもう1匹が腹筋目掛けて飛び降り、見事に着地した。
「ぐふぁっ!!」
ダメージは大きく声も大きくなってしまった。
擦り寄っていた猫は驚いて逃げ出した。
欠伸をしていた猫は我関せずで毛繕いを始める。腹筋に着地した猫はふてぶてしく、
腹をべちべちと前足で叩いてきた。
「はいはい…おやつね…」
腹を擦りながら立ち上がると、
毛繕いしていた猫も、逃げ出した猫も
ピクリと反応し、後を追ってくる。
(現金だなぁ…ま、それがいいんだけど。)
猫たちの熱い視線を感じながら、
おやつをしまっている缶をカパッと開ける。
家の猫様達は今日は何味がお好みだろうか?
まだ仲良くしていたい瞼を何とか開き、
枕元に置いてあったそれをタップし、
音を止めた。
体を起こそうとするが頭がズッシリと重たい。
「あ゛〜」
意味のないうめき声を上げながら、額に手を当て、布団に再び沈む。
「あたま痛ぇ…」
喉が痛い。体が熱く、寝汗が
パジャマにじっとりと染み込んでいた。
「風邪だ…めちゃくちゃ風邪だ…」
何とか這って台所へ向かう。
こういう時布団で助かったと回らない頭の片隅でぐるぐると考えながら、冷蔵庫からスポドリを取り出し何とか喉に注ぐ。
失った水分と塩分とかが染み込んできた…気がした。スマホを持ったまま這ってきた事に気付いた私は職場に休む連絡と病院の予約を何とか済ませた。ずるずるとまた部屋に這って戻る。何とか予約時間までに着替えを済ませて病院に向かわないと…
今残っている体力をすべて賭けて立ち上がったら、ふらついて頭をぶつけた。
痛い…でもちょっと目が覚めた気がする。
まずはマスクと着替えだ!
外ではしとしとと雨が降っている。
そろそろ梅雨入りかな?と思いながら
カップにティーバッグを入れ、
お湯を注ぐ。
しばらく蒸らして、引き上げる。
牛乳を注いでスプーンで混ぜる。
最近知ったのだが、くるくると混ぜるより
上下にかき混ぜた方がよく混ざるらしい。
早速試してみる。上下にスプーンを動かす。
なんとなく滞留が起こってるように思う。
スプーンを置いて、カップにふぅふぅと息を吹きかけ、コクリとミルクティーを飲む。
そして首をひねる。
「味…いつもと変わらないなぁ」
混ぜ方を変えたくらいでは劇的に変わらない。
「でもいつも通りが1番美味しいなぁ」
再びミルクティーを口に運ぶ。
外から聞こえる雨の音。いつも通りのミルクティーで過ごす昼下がり。
今日6月7日は、私の誕生日一日前だ。
かと言って前日には特にすることもない
ただ1人部屋の中暇を持て余していたテンションがおかしかった
「誕生日1日前って事は今日は誕生日イブか…w」
私はなにを言っているんだろう
こんな私をせめて笑ってくれ
「一つ言わせてくれッ!私今日誕生日イブなんだ…!」
なのったーで呟いてみた
すると
祝いのメッセージが3人から届いた
冗談混じりに祝ってくれる人
シンプルに祝ってくれる人
ツッコミを入れてくれる人
全く知らない他人の誕生日を祝ってくれる。
こんなに優しいネットの世界が他にあるだろうか?
画面を見つめていると胸の奥がじんわりと温かくなった気がした。
今日は誕生日当日
いつもとは少し違う幸せな1日になりそうだ。
静かな部屋にキーボードを叩く音だけが
響き渡る。
エンターキーをターンッ!!と気合を入れて叩くと視線を感じ、
振り向くと後ろに彼がいた。
音にびっくりした顔をしながら2つのマグカップを持っていた。
私は赤面しながら苦笑いをした。
彼もつられて笑みを浮かべながらマグカップを片方差し出す。
私は礼をいいながら受け取る。
カップを傾け口に含むといつもより砂糖が多く入ったコーヒーが口内を満たした。
私が疲れていると思ったのだろう。
彼の心遣いが嬉しかった。
私は再びキーボードを叩き始めた。
つい、またエンターキーをターンッ!!としそうになったが、すんでのところで止める。
後ろから彼の視線を感じる。
振り向くと彼がエンターキーを見つめていた。私は彼に代わりに押す?と仕草で質問する。
彼は嬉しそうに首肯した。
彼は楽しそうにエンターキーをターンッ!!と叩いた。
それだけのことなのに2人で笑い合っていた。
エンターキーで幸せを感じた不思議な午後だった。
何気ない代わり映えのしないいつも通りの日常の光景なのに。なぜか自分の心が動く音がした。シャッター音とともにごく普通の何処にでもある光景がスマホに収まった。
あらためて見ても特別感など全くない画像を見て、自分は顔を綻ばせていた。
自分でもわからないけど心がほわっとあたたかくなった。
スマホをポケットにしまい、歩き出す。
自分もさっき撮ったただの日常に溶け込むために。
「怖いんですか?」
「怖いよ」
「そんなに?」
だからやめてくれ、とまた男は言う。そんなに怯えるほどのことでもないのに、まるで太陽の下に引っ張りだされたモグラみたいに臆病な顔をしてる。
「どうせやらなきゃいけないんだから、頑張りなさいよ」
「イヤだ!!やりたくないっ!!」
「やるって言ったじゃないですか」
「あれはテンプレみたいなものだろ!」
「ウソつき」
なんとでもいえよ、と男は頭を抱えだした。面倒くさい男。私は時計のハリを進める。時間を操ることなんて私には造作もない。だって私は魔法使い。私の期限次第で明日にも一万年後にだって変えられる。
「ほら見て、時間が変わるわ」
さん。に。いち。……ゼロ!
魔法の時計がジリジリと鳴りだした。けたたましい
音に男が驚愕の顔になった。
「ほぉら、明日になりましたよ!ユウイチさん!」
明日から本気出すって言いましたよね?
私はニコリと笑った。
波の音と海岸の先に見えるぼんやりとした町灯り
風は冷たいのにどこまでも暖かく不思議な程に優しい気持ちになれた
「まるで違う星に来たみたいだ」
手のひらを潮風に泳がせて僕は白い言葉を紡いだ
「違う星?」
「この星とは違って、ずっとこんな夜が続く星」
砂浜に足を踏み入れてみれば、月面にいるような青い錯覚、波の音が淡く揺れる、泡が静かの星になる
「月面に辿り着いた」
波の描いた砂絵の枠をなぞるように歩いて、反射した海の水面を眺めた
「月に海は無いよ」
困ったように君が笑う
さざめく星が砂を連れて流れた
「泳いでみたかったな」
白い光が揺らめいて散らばる、その光に懐かしい夢を見た気がした。
「僕はずっとここで眺めていたいな」
「僕が語った星だったら、ずっと世界は青いままだよ」
「うん」
柔らかい光を瞳に集めて
「そのままがいいな」
波に溶けて笑った
部屋に缶のプルトップを開ける音が響く。
缶のままぐいっとあおり中のビールを喉に流し込む。ゴクゴクと喉を鳴らし、ぷはっと息を吐く。この飲みっぷりならビールのCMに使えそうだと自画自賛していると、レンジからチンッと加熱が終わった音がした。
缶をテーブルに置き、レンジに向かう。
扉を開き、火傷に気をつけながら中の皿を取り出し、蒸気に気をつけながらラップを外す。
皿には解凍された枝豆がたっぷり並んでいる。
皿をビールの缶の横に置き、1つ摘み、さやから豆を口へ発射する。もぐもぐと音が出そうなほど咀嚼して、ビールを流し込む。
昔大人たちが言っていた『ビールと枝豆は最高に合う』はまさにそのとおりだなと独りごち、枝豆とビールをひたすら口に運び続けた。
あっという間に枝豆はなくなり、ビールも2本目が終わりそうだ。
次は唐揚げを解凍しようかなと思いながら、
明日に来るであろう二日酔いが頭をよぎったが、3本目を開ける音で忘れることにしよう。
時折ふと虚しくなって自分の歩いてきた道を振り返る
失った言葉とか手放した感情とか退屈な時間と記憶とか
積み重ねて積み立てて雪崩て消えていく感傷の足跡とか
見えなくなってしまったところで何も困りやしないんだけどね
どうしても僕は日々の中に夢を見ることをやめられやしないんだ
馬鹿みたいだって言葉は雑踏の中で誰かが誰かに言っているのを聞いたくらいで
別に僕の人生に投げかけられた泥じゃないのにさ
僕は僕にずっと否定の言葉を投げかけ続けてる
目に見えているもので美しいものは
この街の夕陽といつか遠い昔に語られた海の風景だけだ
僕には本を読む術が無いんだけど物語に生きる人間には
感情だけで心臓が動いてしまえる程の命輝く瞬間があるらしいよ
僕には考えられもしないんだけれど
考えてみたくなるよ、誰にも言わないけどさ
だって馬鹿みたいだからね
本当はもっと語るべき言葉が沢山あるのだろうけど
もう心も言葉も過去も未来も使い古してしまったから僕は今あるものだけに目を向けた
ありふれた科白なんだけどね、でもそれが心地よいから僕はそれでいい
日付が変わる前に家を出て車を迷わず海まで走らせて
時刻が0時を回る頃には砂浜に足を埋めて海に身を投げた
空を見上げたら雨が降ってきて、冷たくも泣きたくなる程の優しい雨だったから
僕は思わず君に話しかけた、だってさ君は来てくれるようなそんな気がしていたから
諦めてはいなかった、そんな言葉を言ってしまえば君は信じていなかった癖にと笑うだろうけど
本当だからさ、信じてなくても僕は君が僕を信じてくれてるって理解ってるんだ
だって君は僕の理解者だから
「まだ君をそちらに行かせるわけにはいかない」
聞いたこともない少年の力強い声。目覚めれば…光り輝く方陣の上に姫好みの美少年が居たのでした。
「死者蘇生に必要なのは技術じゃあない。万人に許されるか否か。神さえも頷く大義名分さ。君の反魂に成功したのは君が愛されていたから。望まれたからだ」
しかし少年は困ったように笑って言いました。
「反魂術の特徴は成功しようが失敗しようが決して元通りの姿では甦らないこと…全く別の何かになってしまう点なんだが、これでは本当に生きてるのと何も変わらないな。死後硬直も無いし完璧に近すぎる死霊術というのも、なんだかつまらないね?味気なくて」
佐々木は毎朝遅刻する。今日も9時10分、ガラス扉を押し開け、のんびり入ってきた。「おはようございまーす」と明るく挨拶するが、係長の中村の雷が落ちる。「佐々木! また遅刻か!何度目だ!」
「いや〜、ばーさんが重い荷物持ってて、見てられなくて運んであげたんですよ」佐々木は頭を掻き、笑う。
「言い訳するな! 次遅れたらクビだぞ!」
中村の怒鳴り声がロビーに響く。
周りの行員たちは呆れ顔だ。「また佐々木の言い訳か」と囁き合う。特に真面目な行員の林は、ため息をつきながら書類を整理していた。
「じいちゃん、これ…直せる?」
亮は傷だらけの時計を差し出した。宗次郎の目が細まる。それは亮の祖父で宗次郎の戦友、健一の形見だった。
「預けておけ」宗次郎は静かに頷いた。
夜、宗次郎は時計を分解した。錆びた歯車、止まったゼンマイ。戦場での健一の笑顔が蘇る。
「宗次郎、生きて帰ったら、酒を飲もう」
だが、健一は帰らなかった。宗次郎は歯車を磨き、時を呼び戻すように手を動かした。
翌朝、亮が店に来ると、時計は軽やかに時を刻んでいた。
「すげえ…! じいちゃん、ありがとう!」
亮の笑顔に、宗次郎は目を潤ませた。
「健一の魂が、そこにあるよ」
亮は時計を握り、焼け野原へ走る。
祖父の声が聞こえた気がした。
宗次郎は店で一人、健一の写真を見つめた。
「約束、守ったぞ」
時計の秒針が、静かに響いた。
オーブントースターから
焼き上がりを告げる音がした。
皿を手に取り、
パタパタとスリッパの音をさせ
オーブントースターへ。
トーストを取り出し、皿にのせる。
ふわりと香ばしい香りが部屋中に広がる。
マグカップにインスタントコーヒーの粉を
二匙入れ、電気ケトルからお湯を注ぐ。
いつもならドリップ式で淹れるが、
疲れていたのか
今朝は少々寝過ごしてしまったので
蒸らす時間がない。
疲労回復の為にいつもより砂糖とミルクを多めに入れ、スプーンでくるくるとよく混ぜる。
サラダを冷蔵庫から取り出し、
ドレッシングをかける。
スープボウルにポタージュスープの粉をあける。余った電気ケトルのお湯を注ぐ。
別のスプーンで混ぜつつ、サラダ用のフォークを準備する。
電気ケトルが空っぽになったのでコンセントを抜いた。
トーストにバターを塗り、テーブルに準備したものを並べ、椅子に座る。
いつもの朝食。今日も食べて頑張ろう。
心の中で静かに思い、
私はトーストに齧り付いた。